日記「引出しの中」

遠い日のハテナ ダイアリーのように、、。

2024.04.13「うん?鼻に新聞紙って」

10歳といえば小学4年生だ。
自分の人生で最も愛すべき1年とよく振り返るこの年。
澄んだ青空、気持ちの良いお天気の日。
私は父と、バッド、グローブ、軟球を持ってアパートの側面(裏側)に歩いて行く。
妹も一緒。
彼女は何時でもどこでも、くっ付いている。
気が滅入っていた。
というのは、父の投げる球を打たないといけないのである。
バッドに当ててそこそこの打球を飛ばさないと終わりにはならない、ってことは分かっていたから。
バッドは空を切るばかり。
そのうち、父の球が大きく逸れて僕の鼻を直撃した。
衝撃直後の激痛と、タラタラと鼻血が出てきたので「あー終わった!」と思ったのは、実に甘かった、、笑

父がキョロキョロと辺りを見回している。
そして落ちていた新聞紙を破いてクシャクシャに丸めると、私の鼻にグイッと突っ込んだのである。
「さあっ、、続けるぞ!」だって、、。

自分の息子を心配するより、トレーニング続行って、
星一徹じゃあるまいし
煙たくて、恐ろしいだけの父に、初めて激昂したわけです。
「こんちくしょう!!」この言葉のイメージ通りです。
どんなに気が弱い少年でも、奥底に秘めた怒りは自分でも信じられないほどでした。
父の投げた球を思いっきり引っ叩くとボールは、信じられないほど高く(ファールではありましたが)青空に向かって行きました。
その白球が今も脳裏に刻まれています。

父は少し満足気に「やれば出来るじゃないか!」
夕暮れ。
親子三人は、アパートの2階(1号棟22号室)に帰って行きました。
中学生くらい迄は、こういう思い出ばかりなんですね。父ってのは。。
本当は子煩悩で優しい人だったと知るのはまだまだ先の話。
病弱で、虐められてばかり。
心配だったのでしょう。
親のことが本当に理解出来るようになったのは、自分が親になってからです。