日記「引出しの中」

遠い日のハテナ ダイアリーのように、、。

2023.11.12「オレンジ色の夢」

夢の記録。忘れないようにしたいから。

「オレンジ色の夢」
 夜、川沿いを歩く自分。
街灯はそれなりに道路を照らしているが、やけに暗く全体像がボンヤリしているし歪んでいるようにも見える。
川の流れはドロドロと畝るようで、海の表情に近いか。
ただ何となく歩いているのではないらしい。
ぼんやりと目的が感じられる。
土手に沿って歩いていくと、、
社宅然と平家が全く同じ形で連なっている。
その中の一軒に僕は、向かって行く。
玄関先の上を見上げるとオレンジ色の電灯が鈍く光っており、その灯りで自分が楽譜を何冊か持っていることに初めて気付く。
タイトル部にシューマンとある。いや、シューベルトだろうか。夢なので判然としないが、どちらにしても苦手な作曲家ではある。
古い木枠のドアを横に向かってガラガラと開けると、この小さな家には不釣り合いな長い廊下が奥に向かって延びている。
闇の向こうから、スリッパの音が次第に近づいてくる。

先生だ!
「おう、、どうだ?久しぶりじゃないか。」と飄々とした調子は全く変わらない。
姿形も、当時のままだが、それはそうだ。
これは夢であり、時が止まった状態になっているのだから。

「さあ、さらおう!!」
「あの、、先生、全くさらってないのです。」
言い訳を発したいのだが声が出ない。
先生は微笑んでいる。
薄いベージュのカーディガンにスラックスの風情がどうにも懐かしい。
くるりと背を向けると、また廊下の奥へと消えていく。
スリッパの音がパタパタと、次第に遠ざかり、そして静寂。

置き去りにされてしまった。

後について行きたかったが、夢はそれを許さない。

今も練習が足りてないらしい。