日記「引出しの中」

遠い日のハテナ ダイアリーのように、、。

2023.10.31「フィルター」

おそらく微細な音が聞こえていたものと思う。
カサカサという、とても小さな音。
2階の私の部屋、障子の向こうに、朧げな感覚は有機質な経路を辿って確信に変わる。躊躇なく、、障子を開ける。

その時の洗われるようなイメージを音にしたい。
脳に、その景色と、更に窓を開けた時の驚くほど気持ちのいい冷たさ。闇の空から降りて来る白い欠けらの織りなす完璧なデザイン。
電線から伝わる振動音が逆に静けさを強調する。

数十年もの遠い夜の記憶はまだ胡桃大の脳の隅に燻っている。
私の小さな映画館。
フィルターを通して、流入した限りなく小さな動画が台本・進行を無視してただランダムに自前のプロジェクターに映し出されている。
そして、それらが音として創出される時、違ったものとして、曲がったものとして差し出される。
だから音楽が面白いと思うけれど、
ただ、もう少し性能の良いフィルターが欲しい。
ボロくなった自分のフィルター、そろそろ根っこからの修理が必要です。